Chemquiry ブログ
化学の探求サイト“Chemquiry”のブログ。
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HOMOとLUMOと召喚獣……じゃなくてπ結合!
国際化学オリンピックでは、その国の有名な化学者の業績を題材にした問題が出題されることがあります。
化学グランプリ一次選考の開催と同時に、国際化学オリンピック・日本大会が始まりますが、各国の代表たちはさぞかし日本は暑いなぁ、と感じることでしょう。
日本の夏は湿度が高すぎる! その辺を題材にして、
問)エアコンの電気代を極力節約しつつ、日本の夏を快適に過ごすためには、エアコンをどのように運転させればよいか。飽和蒸気圧の観点から説明せよ。
なんて問題が出たら面白いですがww
エアコンの科学にはヒートホンプあたりの熱力学的な話も絡んできて、なかなか面白い話題ですよね。
温度を上げることならけっこう簡単にできそうですが、温度を下げるとなるとなかなか難しそうに思いませんか?
いやー先人の知恵は本当にすごいですね。
さて、何の話だったかな?
そうそう、国際化学オリンピックでは、その国の有名な化学者の業績を題材にした問題が出題されることがあります、という話でした!
今回は、化学グランプリに、化学オリンピックの問題が流用される(or流用する?)可能性もあるので、一応押さえておこう、というわけです!
手っ取り早いのはノーベル化学賞を受賞した先生方の研究であって、最近では下村脩先生のGFPの研究なのですが、ちょっと問題を作るのが難しいですね…。問題を作りやすいという点だけにスポットを当てると、やはり、2000年にノーベル化学賞を受賞された白川英樹先生による「導電性高分子(conductive polymers)の発見と開発」や、1981年にノーベル化学賞を受賞された福井謙一先生による「化学反応過程の論理的研究」、すなわち「フロンティア軌道理論」でしょうか。
しかし、これら研究は、すでにグランプリの過去問にあるんですよねー。
いずれも初歩の初歩の概念(?)ぐらいまでですが。
というわけで、過去問を見て行ってみましょうか。(ここまで導入。長かったー)
化学グランプリ2001・一次選考
第5問
さて、問題自体は簡単なので、解説は加えませんが、この問題のキーワードは、
・π軌道(π結合)←※n(エヌ)ではなく、π(パイ)
・LUMO(最低空軌道、Lowest Unoccupied Molecular Orbital)
・HOMO(最高被占軌道、Highest Occupied Molecular Orbital)
ですね。
π軌道(π結合)は、ほとんど説明なしで問題に出されてしまうので、知らない場合は、今知ってください(爆)
要は、二重結合=の2つの横棒は実は全く別な性質をもった結合なんだよ、という話です。
一方がσ結合と呼ばれる比較的安定な結合で、
もう一方がπ結合と呼ばれる、反応性に富む(=比較的不安定な)結合です。
π軌道(π結合)は、分子模型を購入すると、付いてくる

↑のこの 蒼や翠 青や緑のやつですね。
ここで、青と緑は対になるように挿すべきだ、という意見もあるとは思いますが、
異性体の話のとこで使うためにわざとこうしているので、ここは我慢してください。
そして、「たま」と「たま」をつないでいる「ボンド」がσ結合にあたるわけですね。
ボンドをたまに強く挿し込み過ぎると抜けなくなってしまうあたりがσ結合の強さの表しているといえるでしょう。
本当は、sp2 混成軌道とかの話もしないといけないのでしょうが、ここでは省略!
さて、π結合に触れたとなると、去年の化学グランプリ2009で出題されたヒュッケル則が思い出されますね。
私が化学グランプリ2009直後に書いた記事では、ヒュッケル則は大きめの有機化学の専門書を見れば書いてある的なことを書いてましたが、大きい本にも書いてないことがありましたね(爆)
ボルハルト・ショアーにも書いてなかったでしたっけね、そういえば。
まあ要するに、二重結合1つあたりπ電子は2つってことです、ハイ。
もし今回も出題するなら、詳しい説明をつけることを期待したいところですが……。
HOMOとLUMOは、HOMOの方が上(不安定)な軌道だと勘違いしないでくださいね!
Highest Occupied であって、電子が占めている軌道のうちの最上位です。
一方のLUMOが、Lowest Unoccupied であって、電子が占めていない軌道のうちの最下位です。
よって、誤解を避けるため、ずっと上のほうで、わざと、
・LUMO
・HOMO
と表記してみたのでした。
ポイントはこのLUMOとHOMOのエネルギー差です。
そして、そこに光をぶち込んで、吸収極大波長がどうとか、色がつくとか何とか、の話は定番ですね。
化学グランプリ2006・一次選考の第二問を解いたことがある人は、だいたいこの流れが分かるかと。
ところでこの問題は、化学グランプリ2001の解説集を読んだことのある人は有利だったのでは、と思ったり思わなかったり。β-カロテン(当時はまだβ-カロチンだったのか!)なんかが登場してますね。
やはり化学グランプリは、過去問を解いておくことの意味はそれなりにありそうです。
かなり難しい問題も紛れ込んでいますが、初期の方の問題は導入には最適な問題も多いです。
問題が簡単な分、解説も理解しやすくなりますしね。
以上、長々と書いた割に中身のない文章を書いていましたが、
次は、頭の体操として、簡単に「異性体」を取り扱おうと思ってます。
宿題

アレン( H2C=C=CH2 )という分子の3つの炭素は同一直線状にあるのだが、図のようにπ結合のせいで、2つのメチレン基(=CH2、この場合メチリデン基とも)の水素原子は、それぞれ直交する平面状に存在する。では、このアレンの4つの水素原子を4つの異なる置換基で取り替えると、いくつの異性体が生じるだろうか。
うー、なんかちゃんと頭が働いてない。次の異性体の記事は頑張る。
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化学グランプリ一次選考の開催と同時に、国際化学オリンピック・日本大会が始まりますが、各国の代表たちはさぞかし日本は暑いなぁ、と感じることでしょう。
日本の夏は湿度が高すぎる! その辺を題材にして、
問)エアコンの電気代を極力節約しつつ、日本の夏を快適に過ごすためには、エアコンをどのように運転させればよいか。飽和蒸気圧の観点から説明せよ。
なんて問題が出たら面白いですがww
エアコンの科学にはヒートホンプあたりの熱力学的な話も絡んできて、なかなか面白い話題ですよね。
温度を上げることならけっこう簡単にできそうですが、温度を下げるとなるとなかなか難しそうに思いませんか?
いやー先人の知恵は本当にすごいですね。
さて、何の話だったかな?
そうそう、国際化学オリンピックでは、その国の有名な化学者の業績を題材にした問題が出題されることがあります、という話でした!
今回は、化学グランプリに、化学オリンピックの問題が流用される(or流用する?)可能性もあるので、一応押さえておこう、というわけです!
手っ取り早いのはノーベル化学賞を受賞した先生方の研究であって、最近では下村脩先生のGFPの研究なのですが、ちょっと問題を作るのが難しいですね…。問題を作りやすいという点だけにスポットを当てると、やはり、2000年にノーベル化学賞を受賞された白川英樹先生による「導電性高分子(conductive polymers)の発見と開発」や、1981年にノーベル化学賞を受賞された福井謙一先生による「化学反応過程の論理的研究」、すなわち「フロンティア軌道理論」でしょうか。
しかし、これら研究は、すでにグランプリの過去問にあるんですよねー。
いずれも初歩の初歩の概念(?)ぐらいまでですが。
というわけで、過去問を見て行ってみましょうか。(ここまで導入。長かったー)
化学グランプリ2001・一次選考
第5問
さて、問題自体は簡単なので、解説は加えませんが、この問題のキーワードは、
・π軌道(π結合)←※n(エヌ)ではなく、π(パイ)
・LUMO(最低空軌道、Lowest Unoccupied Molecular Orbital)
・HOMO(最高被占軌道、Highest Occupied Molecular Orbital)
ですね。
π軌道(π結合)は、ほとんど説明なしで問題に出されてしまうので、知らない場合は、今知ってください(爆)
要は、二重結合=の2つの横棒は実は全く別な性質をもった結合なんだよ、という話です。
一方がσ結合と呼ばれる比較的安定な結合で、
もう一方がπ結合と呼ばれる、反応性に富む(=比較的不安定な)結合です。
π軌道(π結合)は、分子模型を購入すると、付いてくる

↑のこの
ここで、青と緑は対になるように挿すべきだ、という意見もあるとは思いますが、
異性体の話のとこで使うためにわざとこうしているので、ここは我慢してください。
そして、「たま」と「たま」をつないでいる「ボンド」がσ結合にあたるわけですね。
本当は、sp2 混成軌道とかの話もしないといけないのでしょうが、ここでは省略!
さて、π結合に触れたとなると、去年の化学グランプリ2009で出題されたヒュッケル則が思い出されますね。
私が化学グランプリ2009直後に書いた記事では、ヒュッケル則は大きめの有機化学の専門書を見れば書いてある的なことを書いてましたが、大きい本にも書いてないことがありましたね(爆)
ボルハルト・ショアーにも書いてなかったでしたっけね、そういえば。
まあ要するに、二重結合1つあたりπ電子は2つってことです、ハイ。
もし今回も出題するなら、詳しい説明をつけることを期待したいところですが……。
HOMOとLUMOは、HOMOの方が上(不安定)な軌道だと勘違いしないでくださいね!
Highest Occupied であって、電子が占めている軌道のうちの最上位です。
一方のLUMOが、Lowest Unoccupied であって、電子が占めていない軌道のうちの最下位です。
よって、誤解を避けるため、ずっと上のほうで、わざと、
・LUMO
・HOMO
と表記してみたのでした。
ポイントはこのLUMOとHOMOのエネルギー差です。
そして、そこに光をぶち込んで、吸収極大波長がどうとか、色がつくとか何とか、の話は定番ですね。
化学グランプリ2006・一次選考の第二問を解いたことがある人は、だいたいこの流れが分かるかと。
ところでこの問題は、化学グランプリ2001の解説集を読んだことのある人は有利だったのでは、と思ったり思わなかったり。β-カロテン(当時はまだβ-カロチンだったのか!)なんかが登場してますね。
やはり化学グランプリは、過去問を解いておくことの意味はそれなりにありそうです。
かなり難しい問題も紛れ込んでいますが、初期の方の問題は導入には最適な問題も多いです。
問題が簡単な分、解説も理解しやすくなりますしね。
以上、長々と書いた割に中身のない文章を書いていましたが、
次は、頭の体操として、簡単に「異性体」を取り扱おうと思ってます。
宿題

アレン( H2C=C=CH2 )という分子の3つの炭素は同一直線状にあるのだが、図のようにπ結合のせいで、2つのメチレン基(=CH2、この場合メチリデン基とも)の水素原子は、それぞれ直交する平面状に存在する。では、このアレンの4つの水素原子を4つの異なる置換基で取り替えると、いくつの異性体が生じるだろうか。
うー、なんかちゃんと頭が働いてない。次の異性体の記事は頑張る。
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