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異性体と「えっちんぐ」、について

「エッチング」と書けば別にどうってことないのに、
「えっちんぐ」と書くとエロく見えてしまうのはなんでだろう?


さて、健康な高校生が、高校化学において反応してしまう
三大ワードと言えば、

出現順に、

「異性体」
「じぶろもえたん」
「えっちんぐ」

であるのは、ほぼ間違いないでしょう!


しかし、「異性体」は、なぜか何の違和感も持たずにスルーしていまう人が多いものです。
常に ひねくれた精神 ツッコミ精神をもって、
勉学に臨むのが大切ですよ。

その、ツッコミ精神を持った優秀な高校生の例として、
異性体の神秘』には、妙に現実味を帯びた(笑)話を載せていますが、この文章を書いたとき、私は、ついうっかり「えっちんぐ」を入れ忘れていたんですね。

その後、慌てて追加しておきましたが。


さてさて、この「えっちんぐ」は、
(「エッチング」とはあえて書きませんよww)

美術の授業でやったことがなく、
また美術部に所属もしていない高校生なら、
その直接的かつ大胆な表現に戸惑わずにはいられない
ワードでありますが、

高校化学的には、それなりに重要な意味をもった項目なんですね。


すなわち、美術において、一般に「えっちんぐ」といえば、銅版画の一技法を指しますね。
(他にも、「ガラスえっちんぐ」←なんかエロいな… なんかもありますが)

表面にグランド(防食剤)を塗った銅板を、
描きたい絵の形に、針(ニードル)で削り、
それを腐食剤(酸化剤)で腐食させることで、
凹型に削られた銅版画を得るわけですが、

(下図参照。クリックで拡大。http://www.joshibi.net/hanga/curriculum/intaglio/etching.htmlより転載。)

銅板にえっちんぐ! ぐりぐり(腐食)して凹版画にしちゃうぞ♪


この腐食剤(えっちんぐ液←なんかエロいな… )として、何と、
濃厚な塩化第二鉄(塩化鉄(III))の水溶液が用いられるんですね。

イオン反応式で書けば、

 Cu + 2Fe3+ → Cu2+ + 2Fe2+

というわけです。

すると、
ちょっと待ってくれ!
確か、金属のイオン化傾向では、Fe > Cu じゃなかったっけ?
こんな反応はおかしい!

と的外れなツッコミを入れてくる人がいるんですね。
しかもたくさん!

彼らは、金属のイオン化傾向の序列(イオン化列)に洗脳されているわけですね。

刮目して見よ!
今回の反応は、「Cu」と「Fe3+」の反応であり、
「Cu」と「Fe2+」の反応ではない!!


すなわち、酸化剤としての強さは、
(イオン化列においては、右に行くほど、酸化剤として強い、すなわち、還元されやすかったですね?)

Fe3+(→Fe2+) > Cu2+(→Cu) > Fe2+(→Fe)

となるわけです。


イオン化列に洗脳されてるばっかりに、そこを勘違いする受験生が多いため、この「えっちんぐ」は高校化学において、よく狙われる項目となっています。模試や大学入試問題なんかにもたまに登場しますね。


ところで、えっちんぐ液は要は酸化剤なわけだから、硝酸使えばいいんじゃね?

という人がおり、実際に硝酸も使われるようですが、

ちょっと変な色の気体が出てくるかもしれませんね。
なんかいやだなぁ。

まあ、せっかくなので、塩化鉄(III)を使いましょう。
粉末は真っ黄色ですよ!


さあ、そんなわけで、「えっちんぐ」はマスターできましたか?


異性体の神秘』の

ヘキサン(C6H14)の異性体 ~5 Isomers of Hexane~

オクタン(C8H18)の異性体 ~18 Isomers of Octane~

の更新告知のための記事が思いのほか長くなりました(笑)。


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Tag : えっちんぐ塩化鉄(III)異性体じぶろもえたん

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