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化学グランプリ2010 第2問(基礎化学)解説

第2問 水道水のライフサイクル


<凡例>
問○ 分野・テーマ (独断と偏見による難易度評価)
 解法。コメント。

問1 炭酸カルシウムあれこれ (易)

 aの選択肢の5番のCaC2は炭化カルシウムと呼ばれる物質で、カーバイドと言えば大抵はこの物質を指します。アセチレン(C2H2)の製法のところで出てきますね。炭化カルシウムに水を加えると発生します。この発生したアセチレンガスを燃やすことによって光を得るアセチレンランプは、昔は夜釣りや露店なんかに用いられていたようですが、最近は全く見かけることはありませんね。筆者も1回しか見たことがありません。

 炭酸カルシウムと希硫酸の反応は、炭酸の弱酸遊離の化学反応式を書けばOKです。


問2 次亜塩素酸ナトリウムが殺菌時に細菌類に及ぼす化学作用 (易)

 まあこれは知らないと解けないか……

 
問3 塩化ビニル樹脂製品の用途と特徴 (易)

 レザー(leather)とは「革」のことですね。


問4 一日分の水をくみ上げるのに必要なエネルギー (易)

 bの問題は15℃という答えが選択肢にないところに、作問者の優しさを感じますね。


問5 蛇口から出た水の速さと断面積 (易)

 重力で加速されているので、下に行くほど速くなりますね。


問6 蛇口から出た水の加速具合 (易)

 「水の単位時間あたりの流量は一定」より、「位置Pを単位時間に通過する水の体積」は一定とみなせるため、vpは位置Pでの水の断面積に反比例することになります。あとは、比例関係を直径で表せばOK。


問7 蛇口から出た水道水がやがて球状になる原因考察1 (やや易)

   V0 = πd2l/4 ・・・(1)

を導き出した上で、「円柱の胴の部分の表面積」とは「円柱の側面積」のことであると見破り、側面積がπdl と表されることから、(1)式を変形し、

   4V0/d = πdl

より、エの答えは4V0/d となる。使える文字に注意すること!


問8 蛇口から出た水道水がやがて球状になる原因考察2 (易)

 V0が一定であることから、前問エの結果より、dが小さくなる(=下方へいく)ほど、側面積は小さくなる。キの答えは「一般に、液体と気体の触れ合っている面(表面)にはできるだけ小さくなろうとする力がたらく」より明らかであろう。


問9 蛇口から出た水道水がやがて球状になる原因考察3 (易)

 表面張力。知ってておきたい言葉ですね。

 「液体と気体の触れ合っている面」と限定されているので、「界面張力」だと×か、よくて△でしょう。


問10 界面活性剤による表面張力の低下 (易)

 割と有名な話かな。


問11 地球上のすべての水に対する海水の割合 (易)

 計算するだけ。海水に対してあまりにも小さいものは無視しても結果は変わらないですが、心配なら全部足してみてもいいでしょう。


問12 逆浸透法と蒸留で、海水から純粋な水を得る際に必要なエネルギーの比較 (標準)

 これは、浸透圧系の問題を一度は解いたことがないと間違えそうな問題ですね。

 aの問題で「NaClは100%電離していると考えなさい」と書いてあることにはかなり重要な意味があります。気体の圧力が気体分子が壁に衝突する際に生じるものと考えるならば、浸透圧とは溶液中の粒子が半透膜に衝突する際に生じるものと考えることができますから、半透膜に衝突するのがNaClなのかNa+とCl-なのかという点は非常に重要です。後者は前者の2倍の圧力になってしまいます!

 あとは気体定数の取り扱いについてです。去年の問題にも似たような問題がありましたが、まず、1 J とは、1 kg の物体を 1 m 持ち上げるのに必要なエネルギーであり、[J] = [kg m] と表され、1 Pa とは、1 kg の力が 1 m2の平面にかかる際の圧力であり、[Pa] = [kg m-2]と表され、1 m3 = 1000 L であることから、これをまとめて、

   8.31 [J mol-1 K-1]
  = 8.31 [kg m mol-1 K -1]
  = 8.31 [kg m-2 m3 mol-1 K -1]
  = 8.31 [Pa m3 mol-1 K -1]
  = 8.31×103 [Pa L mol-1 K -1]

となりますね。


よって、

Π = cRT = 0.10 mol L-1 ×2 × 8.31×103 Pa L mol-1 K -1 × 300 K ~ 4.99×105 Pa


 bは、あれなんでNa+の物質量の割合しか与えられていないんだ? Mg2+とかの割合は??? と混乱し出したら手のつかない問題になってしまうかもしれませんね。

 そもそも、物質量とは、ただの個数(のかたまり)です。1 mol とは、ただの 6.02×1023 個のことにすぎません。そして、濃度 mol L-1 とは、1 L 中に粒子が何個あるのかな、ということを示しているにすぎません。今、与えられたデータを用いて、Na+の物質量(=個数)が分かり、全体の粒子のうちの42%の粒子がNa+だと言っているのですから、全体の粒子の物質量(=個数)はすぐに求まりますよね。浸透圧(気体においては「全圧」)を考える上で、衝突する粒子の種類を考える必要はありません。

 というわけで、

Na+の物質量 nNa+: nNa+ mol = 10.0 g / (23 g mol-1)

全体の物質量 n : n mol = nNa+ mol ×100/42

浸透圧 Π : Π Pa = n mol / (1 L) × 8.31×103 Pa L mol-1 K -1 × 300 K

これを計算すると、2.58×106 Pa が得られ、逆浸透圧法で淡水を得るために必要な最小の圧力とはすなわち、浸透圧に相当することから、2.58×106 Pa が答えになります。


 cは、前述の通り、[Pa] = [J m-3] であり、1 m3 = 103 L = 106 cm3 であり、さらに水の密度が 1.00 g cm-3 であり、さらにさらに水 1 mol の質量は18 g であることから、逆浸透法により海水から水 1 mol を得るために必要なエネルギーEは、

  E J = 2.580×106 Pa × (18×10-6 m-3)

これを水の蒸発熱 40 kJ から割って、

  40/E ~ 8.61×102(倍)が答えとなりますね!



最後の問題は少し難しかったかな?

「物質量」という用語は、なぜか難解な印象を与えますよね。英語では"Amount of substance"、まあ日本語訳すれば、確かに「物質の量」なんですが、"amount"という英単語のニュアンスから数え切れないほどの個数のイメージが喚起できるので、こっちのフレーズの方が個人的に分かりやすいのではないかと思ったり。


さて、第2問は割と簡単で、解くのにもそんなに時間がかからないと思われるので、下水処理系の問題も出題して、完全な「水道水のライフサイクル」の問題に仕上げることも不可能でなかったのでは、と思いますね。


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テーマ : 化学 - ジャンル : 学問・文化・芸術

Tag : 化学グランプリ 水道水 逆浸透法 海水 ライフサイクル

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このブログは、悠久の彼方へと旅立った、かつての部員を偲びながら、

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なぜか『バカとテストと召喚獣』などのアニメについて学術的(笑)にツッコんでいっちゃう、意味不明なブログ

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でも、やっぱりメインは化学なんだなあ(↓)

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